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[前編]長期インターンシップで学んだこと(NISSHA株式会社)

1 はじめに

私は、8月26日から9月6日(土日を除く)の10日間、日本写真印刷株式会社(NISSHA)のフォトクリエイティブ部で学外実習をさせてもらいました。元々、画像には興味があり、実際に画像処理を用いた仕事が知りたくてこのインターシップを志望しました。

2 会社概要

NISSHAは1929年に創業されました。「活字印刷であればだれでもできる。他社の手がけない高級印刷をやろう」と当初から独自の道へ進みました。この創業者鈴木直樹氏の思いがNISSHAの差別化戦略の原点です。これを実現するためにNISSHAでは「産業資材事業」、「ディバイス事業」、「メディカルテクノロジー事業」、「情報コミュニケーション事業」の4つの事業を展開しています。

2.1 産業資材事業

自動車や家電の内装に使われるプラスチック表面に、成形と同時に絵柄・機能を転写する独自の技術であるIMDおよびIMLを有しています。また、NISSHAの加飾技術の起源となる熱転写の技術も有しています。この技術は主に化粧品パッケージや文房具など様々な製品で使用されています。

2.2 ディバイス事業

フィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用機器、自動車に幅広く採用されています。NISSHAのフィルムタッチセンサーはフィルムの特性を生かした薄さと軽さに加え、高い視認性と狭額縁を実現しています。

2.3 メディカルテクノロジー事業

近年、展開された事業で心疾患分野などの手術用器具や医療用電極などを主力製品としています。現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けに受託製造事業を展開するとともに、医療向けに自社ブランド品を製造・販売をしています。

2.4 情報コミュニケーション事業

情報コミュニケーション事業は日本写真印刷コミュニケーション株式会社が運営しています。事業概要はアートソリューション、出版印刷、商業印刷・セールスプロモーション、新製品の開発を行っています。アートソリューションの内容は文化財を高解像度でデジタル化する技術や、実物を限りなく忠実に再現する複製技術を駆使して、文化遺産を保存します。新製品の開発では高精細な入出力技術を核に、NDP(高品質カラーデジタル印刷システム)やFabright(高品位なカラーマネジメントと高精細な印刷技術を用いた布製品)などの新しい製品を提供しています。

2.5 ニッシャエフエイト

日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社の子会社がニッシャエフエイト株式会社に属します。今回、私たちは主にニッシャエフエイトでお世話になりました。事業内容はコマーシャルフォトの企画・撮影、文化財高精細アーカイブの企画撮影、動画・空撮ムービー制作(360度VR)などを行っています。

3 実習内容

主な実習内容としては、photoshopを用いた画像処理、デジタル一眼レフカメラの使用方法、撮影の補助などを学んだ。また、課題としてNISSHAでのインターシップにおける活動をまとめた新聞作成を行った。

3.1社内見学

NISSHAがどのような取り組みをしているかを展示物を紹介ながら説明してくれました。そこで学んだことは印刷しているものは紙だけではないということでした。車の内装やイヤホンのデザインといった平面ではないものも印刷していることを知りました。Fabrightを用いた布の印刷は布に印刷されたものとは思えないぐらい鮮明で発色がきれいでした。粟野さんが引き続きNISSHAと印刷の歴史を紹介してくれました。印刷された紙をルーペなどで見ると粒状のマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色だけで表現されていることを実際に見て学ぶことができました。

3.2フォトクリエイト部の部長の講義

フォトクリエイト部の部長が講義をしてくれました。
伝統文化や出来事などは記録がないとそれ自体の存在が記憶から呼び起こすのが難しくなります。また、記憶に残っていたとしてもそれを書いて表現するということは難しく、そこには人間の感性という曖昧なものも含まれます。つまり、記録がないと完璧に情報を表現することができないということです。しかし、記録があると非常に情報を伝達するのが簡単で正確になります。この特徴は文化財を保存し、伝承していくためにも記録つまり写真は重要な役割を果たしていることが分かります。
写真というのは見る人によって価値に個人差があります。一番、価値に差が表れるのが記憶に残っているかどうかということです。記憶にない場合は写真を見ても、知らないとか分からないとなりますが、記憶に残っていると記憶が少し鮮明になることや記憶を呼び起こすきっかけになります。
ホームページの写真や公式写真というのは必ず狙いや意図があるのでそれを見極める力が必要であると教えてくれました。写真は瞬間を切り抜くことができるため、何かしらの意図を含んでいることを忘れてはいけないと思いました。
記憶というのは人間が覚えている情報だけだと思っていたが、思い出せない情報も記憶であることが分かりました。思い出せない情報があったとしても、写真などの記録を見て思い出すことができるので、写真などの記録はとても重要であると感じました。

3.3 企画制作部の話

企画制作部の人から編集とデザインについての話をしてくれました。
企画制作部ではお客様の要望に応えて、満足してもらうことが大切で、カタログや雑誌などの企画制作をしています。紙以外にも、ウェブページなどのデザインを提案することもあります。
編集というのは、かき集めたたくさんの情報を一つにまとめることだと言います。編集という言葉は人によって意味が違うので使い方に注意しないと間違って伝わることもあります。また、デザインとは設計や装飾のことを示しているそうです。私は編集とデザインという言葉を同じような意味で使っていたので、勉強になりました。編集やデザインをする上でアーティストではいけないと言います。つまり、自分にとって一番のものを作るのではなく、お客様にとって一番満足するものを作り上げることが大切であるということです。自己表現が仕事のやりがいであり、お客様に完成したものを見てもらう楽しさもあると言います。大学のパンフレットを作成するのにかかる費用は1000万円ぐらいするそうです。製作期間はだいたい半年ぐらいかかるようで冊子のページ数などで決まります。大学のパンフレットにが1000万円もすることはかなりの驚きでした。それぐらい編集に対するこだわりと多くの人が製作に携わっていることが分かりました。
次にデザイナーである人から話を聞きました。お客様に依頼された内容を雑誌や写真などにデザインするのが主な仕事内容です。主に宝塚の冊子のデザインをしています。お客様の依頼に沿うデザインをすることはもちろんですが、特に指定されていない箇所や依頼の内容が曖昧なことも多く、自分で考えてデザインすることもあります。こういったところに仕事の難しさを感じると共にやりがいもあると言います。実際にデザインされた冊子やカレンダーを見て、フォントの形やデザインを決めて統一感を出すことが大事であることを学びました。

3.4 パナソニックギアシステムズの撮影

朝6時に大宮駅を出発して、カメラマンの社員と愛知県にあるパナソニックギアシステムズに行きました。10時からミーティングが行われました。その内容は撮影する場所と時間の確認、どのように進めていけば効率よく進められるかといった内容でした。ミーティングを終え、撮影が始まりました。最初にガラスケースに入った製品を撮影しました。私は主にその撮影の手伝いをさせてもらいました。手伝いの内容は機材運び、暗幕の設置をしました。ガラスケースは光の反射で他の物体が映ってしまうため、暗幕などで反射を防ぐことが大事だと教えてくれました。暗幕の設置は思っていたよりも時間と手間がかかり肉体労働でした。ガラスケースの製品を1つ撮影するだけで1時間ぐらいかかりました。撮影に対する熱意とこだわりを感じることができました。また、撮影する際は障害物やその場にふさわしくない物(椅子やカメラの機材、人物)などを動かしてベストなシーンを作ることから始めないといけないので、撮影するまでに多くの時間を費やす必要がありました。12時から13時まで昼食休憩した後も引き続き撮影が行われました。人を撮影するときは光を反射させるレフ板を用いて光の量を調整することを教えてくれました。撮影するときは必ず三脚を使用してPCの画面でピントが合っているか、余計なものが入っていないかを確認していました。自分の好きなように撮影するのではなく、お客様や相手の会社のニーズに応えることが重要であり、いろんな知識を知っておかないと要望に応えることは難しいと教えてくれました。物体の奥行きの距離感をとても意識して撮影していました。物体の奥行きの距離感が同じだと味気のない写真になると言っていました。予定よりも早く作業が終わらせる意識を持つことが大事であることも教えてくれました。イレギュラーなことが起こっても対応できるようにするためです。実際に途中までは予定より早く進んでいたのですが、後半部分でエキストラの準備などで時間がかかり、予定通りの終わる時間になってしまいました。他の会社とのコミュニケーションをしっかり取り、連携することが仕事をスムーズにする秘訣であることが分かりました。

3.5 習字の撮影と合成

超高精細カメラ(8000万画素)を用いて、習字の撮影を行いました。1回の撮影では全体が収まりきらないので複数回に分けて撮影しました。撮影をした後はPCのモニターでピントが合っているか、歪みがないか、用紙の端まで撮影できているかを確認しました。最後にphotoshopで複数枚の画像を合成して1枚の画像を完成させました。Photoshopで複数の画像を合成させて1枚の画像を作成するコツは動かしているレイヤーを下に配置し、半透明にして、動かすことです。そうすることで細かいずれが分かりやすくなりきれいに合成することができます。

3.6 龍谷ミュージアムの見学

フォトクリエイティブ部の部長と営業部長と一緒に龍谷ミュージアムの見学をしました。中国のトルファンにあるベゼクリク石窟大回路の復元展示を見ました。展示されたベゼクリク石窟大回路はコの字のようになっており、天井は曲面でした。これらの印刷はNISSHAが担当したそうです。シアターではばらばらになったものの合成や色の復元方法も紹介されてました。

3.7 インタビュー

新聞記事を作成する上で5人の社員にインタビューをしました。インタビューをする人、メモをする人、写真を撮る人をあらかじめ決めてインタビューに臨みました。インタビューの内容は最初にプロフィール作成のための趣味などを聞きました。次に5人の社員はそれぞれ違う部署であるので、仕事の内容ややりがいなどを聞きました。インタビューの流れとしては最初の15分で質疑応答を行い、残りの15分間で写真撮影を行いました。質疑応答では、それぞれの部署でどんなことをやっているかを詳しく聞くことができて、とても勉強になりました。多くの部署で共通していることはお客様を第一に考えているという考えでした。
インタビューの難しいところはより多くのことを話してもらうように臨機応変な質問をすることです。人によって話す量が違ってくるので、話す量が少ない人に対しては質問する回数を増やして、情報を引き出していくことが大事であることを学びました。初めてのインタビューでは少し間が空いたりすることがありましたが、実践を重ねるうちに上達しました。
写真を撮る上ではジェスチャーを付けたり、正面からではなく斜めから撮影するなど様々な工夫をしました。また、背景に映ってはいけないものがないかを確認しながら撮影しました。
ほとんどのことが初めての経験でうまく質問ができなかったり、話が続かなかったりと難しいことも多くありましたが、回数を重ねるにつれて、上達したのも実感できて本当に良い経験をさせてもらいました。